原因
①虫歯
虫歯によって歯が溶けてしまう時は、歯と歯の間から虫歯になる症例が多くあります。
その症例は、まず外側の固いエナメル質を点状に溶かし、次にその中の象牙質を溶かしていきます。この時にエナメル質と象牙質では硬さが異なり、象牙質のほうが柔らかいため、虫歯は象牙質を先に溶かしていくのです。
そのため、外側のエナメル質は残っているものの、中の象牙質は溶けて空洞となり、自分自身では気付かないうちに歯が脆くなっているので、食べ物などでも欠けてしまうのです。
②歯ぎしり、食いしばり、TCH
歯ぎしり、食いしばりは起きている時よりも、睡眠時の無意識のうちに、ギシギシしたり、グッと噛み締めたりすることが多いです。
歯ぎしり、食いしばりにより歯にかかる荷重は、その方の体重の2~3倍ほどの力がかかることもあると言われており、その力により歯が欠けてしまうことがあります。
特に神経の処置をしてある歯(失活歯)の場合は、歯が脆くなっているので、強い荷重に耐えきれなくなって、破折したり、しみたりすることがあります。
これらの対応として、夜間に付けていただくマウスピース型の装置であるナイトガードを使用して歯を守る対処方法もございます。
③外傷
交通事故や転倒、子供では鉄棒でぶつけたなど、強い外的な衝撃などの要因で、歯が欠けたり、脱臼したり、破折したりすることがあります。
この場合には、自分の経験上、口、舌なども傷付けたりしていることも多いので、早急な対処が必要です。
④酸蝕歯
歯の表面は、通常エナメル質という硬い材質で覆われていますが、それが飲み物、食べ物などで歯が酸性に傾き、エナメル質が柔らかくなります。その状態で歯ぎしりや食いしばりなどの習慣が起こると歯が削られてしまうのです。
あまり情報が流れていないそうですが、特に砂糖の多い清涼飲料や、一見健康志向のスポーツドリンクなどもよく歯を溶かすもとになるので注意です。
対処法
・小さく欠けている場合
前歯で小さく欠けている場合は、欠けて隙間や穴が出来たりした場合、レジン充填と呼ばれるプラスチックの白い詰め物を保険治療で治すことができます。
強度は、セラミックや金属と比較すると劣りますが、欠けた部分だけ詰めて修復するので、余計に歯を削る必要がないことがメリットです。
・中くらいに欠けている場合
前歯で中くらいに欠けている場合は、歯の全体を被せる必要があります。
保険診療であれば、金属のフレームの上にプラスチックを盛る被せ物治療(補綴治療)となります。自費診療では、オールセラミック冠が一般的です。
奥歯で欠けた場合の保険診療では、被せ物が銀歯かプラスチックの歯になります。詰め物であれば、銀の詰め物になります。
自費診療では、セラミック冠またはセラミックインレーと呼ばれる白い詰め物(セラミック治療)になります。
自費診療は保険内治療に比べると、治療費用が高くなりますが、安全性と審美性は非常に高くなります。周りの人から見ても作り物とほぼ気付かれませんので、審美治療として銀歯から高品位セラミックに付け替える人も多いです。
・大きく欠けた場合
神経が生きている歯で大きく欠けた場合は、神経を残すことができれば、全体に冠を被せます。
欠けたり、穴が空いたりして神経が露出していた場合は、神経を取って、根っこの治療が必要となります。(根管治療)そのあと、神経を取った歯は脆くなり、破折のリスクがありますので、土台を入れて、その後強度を出すために全体に被せ物をする形とします。
・大きく破折した場合
大きく欠けた場合の中でも、歯が骨縁下組織まで広がる程まで大きく欠けた場合は、歯の保存方法が難しく、抜歯となります。
その場合、抜歯した後はそのまま放置しておくと、噛み合わせが悪くなり、更に歯を失うことになります。
噛み合わせを安定させ、歯を長持ちさせる為に、入れ歯、もしくはインプラント治療などの治療法が必要となります。
また、両隣に歯がある場合は、ブリッジで治療することもできます。大きく破折した場合には、治療技術のある歯科医院に行かれることをお勧めします。
・外傷により脱臼した場合
脱臼したまま放置するのは良くありませんので、歯を保存液、生理食塩水、牛乳などにつけて、早急にかかりつけの歯医者さんにて、脱臼した歯と隣の健全な歯を再植して、歯と歯の間と裏側を接着剤で固定する必要があります。
この応急処置を迅速にすることにより歯を残せる可能性が高くなります。この場合には、腫れたり、痛みがでたりするので、鎮痛剤などが必要となるかと思います。